【Cantabile!!】








 
 過去のトラウマを抱えたまま、音大に進んだ流川。

 彼はここで運命的な出会いを果たす―――。










 指揮者志望の流川は、ここ最近どうも調子が悪かった。

 試験の成績も最高ランクなのに、なぜか毎日がぱっとしない。

 出来るなら今すぐにでも師匠のところ(海外)で修行したいのに、

飛行機が怖い(これは誰にも内緒)のでそれも出来ない。




 毎日腐っていたそんなある日。




(何だコイツは…)

 たまたまクラスが一緒になった桜木花道という青年。

 その彼のピアノ。

(凄い…)

 圧倒的な存在感と無邪気な演奏。

 純粋な音色。




「彼と連弾してみようか、流川くん」




 教授の指示で流川と花道は連弾の練習をすることになった。

 練習していくにつれて、流川は音色だけでなく花道自身にも興味を持ち始めていた。

 全てが型破りでむちゃくちゃで、派手で、素直で、天才的な演奏。

 聞いている者の心を揺さぶる音の洪水。

 

 曲を1度聞いただけで、楽譜を見なくても曲を覚えてしまう、

その花道の耳の良さにも流川はある種の感動を抱いていた。

 

「どあほう、そこは違う!」

「うるせー、キツネ!」

(ふぅ……。全くこのどあほうは…。こうなったら………)

「……良いだろう、どあほう。自由に、思いのままに弾いてみろ」

「は?!」

 花道は意外なことを言い出す流川に目を丸くした。

 流川は微かに笑みを浮かべた。

(こいつのじゃじゃ馬なピアノに合わせられるのは、俺ぐらいだろ……)





 純粋な性格そのままの彼の音色に、流川はこの時、本当に久しぶりに

「音を楽しむ」ことを思い出したのだった……。















少女漫画【のだめカ●タービレ】のWパロです。
日記に小話として載せたものを手直ししました。
この漫画は初めて読んだ時から流花だなぁと思ってました(笑)
ピアニストな花道や流川は見たことありますが、
指揮者な流川ってそういえば見たことありませんな。
漆黒のタキシードを纏う流川を想像すると涎が出ます(汚)
花道は手が大きいので、ピアニストにむいてると思う。
花道にしか表現出来ない音を作り出してくれそう。
赤い髪を振り乱しグランドピアノに挑むなんて素敵!(笑)


(2003年10月29日初出&2004年3月16日加筆修正)









novel-top