【その甘いてのひらが、僕にもたらすもの】  








「なんだよ流川〜!」

 むずがる花道を下に敷き、その柔らかい髪に顔を埋めてしまう。

 やはりこの子供はとても良い香りがする。

 大変自分好みな香りだ。

 猫っ毛の赤い髪を一房口に含むと、その髪も甘い味がするようだ。

 柔らかくて美味しそうな耳たぶを舌先でちょいと舐める。

 花道はピクンと肩を揺らし、首を引っ込めた。

「やだよ、流川ー!くすぐったい!」

 手を突っぱねて胸を押してくるが大した力が入らないのか、痛くも痒くもない。

「良い匂い…」

 思わず声に出してしまった。

 それくらい気持ち良いのだから仕方無い。

「俺、腹減ってんだよぅ!いい加減にしろってば!」

「もうちょっと…」

 髪を充分堪能した次は首筋。

 耳たぶと同じ位柔らかくて、髪と同じくらい良い香りがするその場所。

 唇でなぞっていくと、それだけじゃ足りなくて歯を立てる。

「やっ!」

 軽く、ホントに軽く歯を立てただけなのに、花道はちょっと怯えた様子だ。

 でも止めてやらない。

 チュッチュッと鼠の鳴きまねでも出来そうな音を立てて首筋にキスを送る。

「るかぁ…」

 花道が鼻に掛る甘えた声を出した。

 俺はこの声が何より好きだ。

 そろそろ良いかと思い、パジャマのボタンをゆっくり外していき、そっと前を開く。

 小さくて赤い果実がそこにひっそりと2つ並んでいる。

 小さいながらも反応を返すその果実。

 ピンと立ち上がっていて、それはまるで俺に食べてもらえるのを待ってくれているようだ。

 (…それじゃ遠慮なく…)

 俺を待ってくれている(ように見える)その果実の片方を早速食べた。

「んっ!」

 詰まった声を一瞬出した花道は、嫌なのかその逆なのか、俺の後頭部に手を

回し抱きしめてきた。

 可愛い反応に気を良くした俺は、もう片方の果実に指を伸ばし優しく摘み上げて

やった。

「あん!」

 そこをクリクリといじってやると、声を出しながら花道は体全体を捩った。

 口の中にある小さな果実を吸ったり舐めたり齧ったり、俺は容赦無く、でも出来る

限り優しく舌を絡めてしゃぶった。

「やっ…だめ…だってば…!」

「駄目じゃない…」

 口に含んだまま喋りつつ、今度は両手で花道のズボンを下着ごと一気に脱がす。

 剥き出しになった下肢にも気付かず、花道は可愛らしい反応を返すことに大忙しだ。

 両膝に手をあてて左右に押し開くと、中心には男のシンボル。

 小さいながらも生意気にちゃんと勃っている。

 桃色をしたそれは、小刻みに震えているようで、今にもむしゃぶりついて喰らい尽き

たいくらいだ。

 俺は、無防備な花道に満足しつつ、その隙に自分もパジャマのズボンと下着を

膝まで下ろした。

 上は既に脱いでいるから問題無い。

 俺のアソコはもうビンビンでギンギンで、少しの刺激でも痛みにすら感じてしまいそうな状態だ。

 だから、これからすることに躊躇いは全く感じ無かったのだ。

「どあほう…花道…?」

「ん…何…るかぁ?」

 舌ったらずな声で答える花道のプルプルした唇に口付けながら、頼んだ。

「…俺のちんちん握って…」

 すると花道はまんまるい目をさらに大きくして次に思い切り拒否してきた。

「やだっ!!!!」

「花道……な?」

「やだってば!」

 さっきまでうっとりと愛撫を受けていた体が暴れ出した。

 でもこっちだって必死なのだ。

 みすみす逃がしたりはしない。

 俺は半分マジで頼み込んだ。

「頼む、花道…。ちっとで良いから…」

「……」

 唇をとがらせてこっちの様子を上目遣いで伺っているのが分かる。

 だから俺は一世一代の大芝居をかました。

「花道…頼む…」

 俺は心底情けない顔を作り、この可愛い少年がその気になるように役者顔負け

の演技をした。

 そして、その演技に自分でも手ごたえを感じた。

 (役者になれるかもしれねー)

「むー……」

 下から見上げる花道は、唇を相変わらず尖らせているが、さっきよりも態度が

軟化している。

 良い兆候だ。

「頼む…。こんなこと花道にしか頼めねぇんだ…」

「…ちょっ……ちょっとだけっ!だぞ!」

 頬を真っ赤に染めて、花道が言ってくれた。

「おう、ちょっとで充分…」

 花道の真上に四つんばいになって覆い被さっている俺は、上からその様子を

じっと見ていた。

 真っ赤になって恥らう花道は、それこそ体中から美味しい香りを撒き散らして

いるようだ。

 いよいよ花道は、片手をそっと伸ばして俺のアソコへ持っていく。

 しかし触れる寸前でそれを止めさせた。

「両手で…」

 伸ばしてきた片手をそのままに、まだシーツをぎゅっと掴んでいるもう片方の

手も引き寄せる。

「…あ…………」

 アソコの近くまで両手を導いてやったが、そこから先は全て花道に任せることにした。

 俺のそこは、もう限界ギリギリで湯気が出そうな程だ。

 すると花道は予告も何もなく、突然両手で俺のアソコをキュッと握った。

「うっ」

 思わずうめき声をあげてしまった。

 ちと恥ずかしい。

「うわっ!…るか……っ」

「何だ、どうした?花道…」

「なんか…なんか…」

「ん?」

「あ…ちぃよ…スゲー熱くって…そんで……なんか…」

 酷く戸惑っているようだ。一体どうしたと言うんだ。

「なんか…堅いよ、凄くっ!」

「クッ!」

 言いながら花道は思わず力が入ってしまったのか、俺の大事なアソコを

ぎゅっと握ってきた。

「は、花道…ちっと力抜いてくれ…」

 ビンビンになっていた俺のアソコは発射しそうになるのを必死なって我慢していた。

「ご、ごめん!」

 急いで緩く握りなおした花道は、それでも自分の手の中にあるものに好奇心を

大分刺激されたらしく、握った両手を少しだけ上下に動かし始めた。

「やっぱ堅い…なんで…?」

「……気持ち良いからだ…」

「気持ち良い…?」

「おう…かなり気持ち良い…。もっと手を動かしてくれると、もっと気持ち良い…」

 俺の”お願い”をきいてくれたらしく、両手をさっきよりも少し早めに上下に

動かしてくれる。

「気持ち良い?」

 この無邪気な聞き方が、とんでもなく愛おしくて仕方無い。

 そんな子供の問いには正直に答えてやるのが大人の礼儀ってヤツだろう。

「気持ち良い…良すぎる…」

「ホント?」

「ホント」

 俺はこの時心の底から快感に酔いしれていた。

 花道の小さな掌が作り出す快感が俺を飲み込んでいく。

 この時俺の頭の中には【西遊記】という有名なあの物語が浮かんだ。

(そうだ。西遊記だ……)

 花道の掌で快感を得る俺は、さしずめ【西遊記】に出てくる孫悟空だ。

 観音様の掌の中で踊らされている愚かな男。

 自分は自由だと信じていたそれは、実はまやかしだった。

 全ては観音様の掌の中。

 でもそこは意外に居心地が良くて…。

 その場所に縛られて、命を握られて…。
 
 まさに今の俺の状態が、それだ。

 この小さな掌は、それでも俺を縛り付けるのには充分であり、まさに観音様の

掌のように居心地がよく素晴らしいものだ。

 なんて凄い掌を持っているんだろう、この子供は。

 体中から良い香りを発して俺を誘い出し、その掌の中で愚かに躍らせている。

 俺も分かっていながら逃げようとしない。

 いや。

 逃げたくない。

 このままでいたいんだ。

「花道…花道…」

「何?流川…」

 何度も名前を呼ぶ俺を、下から慈悲深い目をした花道が見上げてくる。

 あぁ、この名前すらも神聖なものみたいだ…。

 俺の花道…。





























流花の日&HP開設1周年記念のSSです。
流川、イカせてあげられなくてごめん(笑)
流川ばっかり気持ち良いかも…ですが、
実は花道もまんざらじゃ無いのかもしれない(笑)
それにしても2人共めちゃくちゃ偽者だ…(笑)
タイトルの解説を。
【その甘い手のひらが、僕にもたらすもの=至上の快楽】です。
そのまんま(笑)
流花の日、おめでとう!!!!


(2003年11月10日初出)







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