【二人の秘密】 (婚姻届編)
ここは仙道家の広いリビングである。
仙道の向かい側には花道が座っている。
彼ら二人は左手の薬指にお揃いの指輪を嵌めていた。
つまり婚約者同士なのだ。
今をときめくマルチタレント桜木花道。
そして、デビューしたての新人俳優仙道彰。
これは、そんな二人の漫才…ゴホッン…【愛の軌跡】である。(嫌過ぎる)
お茶を飲み終わった仙道が、ソファから伸びをしながら立ち上がった。
「さぁ、行こうか」
「どこに?」
「区役所」
「何しに?」
「婚姻届出すに決まってるだろ!」
何を当り前のことを!と言いたげに仙道が言った。
しかし花道はけろっとしている。
「俺、行かねーよ」
「なななななな!何で!!」
花道の言葉に思い切り仙道は動揺した。
「そんなもん、メガネくん(花道のマネージャー)に頼めば良いじゃん」
「どうして!」
「だってよー。俺は売れっ子(死語…)タレント。おめーは新人俳優。二人でそんなとこに行ったら関係がバレバレじゃん!」
「バレバレだって良いじゃん!!!」
「良くねーよ!!」
「…………」
花道の態度に仙道はしばし押し黙った。
「…………分かった」
「何が?」
意を決したように、仙道はキッと顔を上げた。
「花道。本当は俺と結婚したく無いんだろうっ!!!」
「はぁ?!何言ってんだよ今更!んな訳ねーだろ!!」
花道は自分のことを否定されたような気になって、剥きになって反論した。
そんな仙道は、花道に切り札を突きつける。
「じゃぁ言うけど………。この前、週刊誌に載ってたプロデューサーMって何!!」
「あ、あれはっ!ただの打ち合わせだ!!」
「ふーん………。それじゃその前のモデルRは!!!」
「あれはみんなで打ち上げで焼肉食いに行った時、たまたま二人揃って店の外に出ただけだ!!」
後からすぐメガネくんが出てきたぞ!
花道が憤慨して叫んだ。
「じゃ、じゃぁ作家Fは!!」
「あーれーはー!雑誌の対談だ!」
「〜〜〜〜〜〜!!!」
手持ちの札が無くなって、仙道は最後の切り札を差し出した。
「それじゃ、今日スッパ抜かれてた若手新人俳優Sは!!??」
「そりゃ、おめーだろ!!」
「………」
「………」
(俺たち…結婚する前に、すでにリコンするべき?)
花道の脳裏に一瞬過ぎった『離婚』の文字は、しばらく消えることが無かった。
―――その前にスッパ抜かれている時点でバレてると気付け…(汗)
これはラジオCMのパロディです。
車の中で初めて聞いた時から、もう仙花でグルングルンしてしまって…(笑)
このCMは朝の決まった時間に流れるので、いつも出勤するときは
ラジオから流れるこのCMを聞いては「仙花だわ!仙花だわ!」と
一人騒いでおりました(笑)
今はもう終わってしまったんですが、内容をメモっといて良かったよ(笑)
ネタにしっかり生かされています(笑)
これは全編会話のみで構成されているんですが、
いざ文章に書き起こすとあのテンポの良さが上手く表現出来ませんでした。
なので、ちょっとアレンジしてあります。
(2004年3月1日初出)
novel-top ≫≫