【二人の秘密】  (出生届編)






 

 ここは仙道家のリビング。

 傍らのベビーベットでは可愛らしい赤ちゃんがすやすやと眠っていた。

 ようやく眠りについたので、仙道と花道は起さないようにそっとその場を離れた。




 
 お茶を飲み終わった仙道が、ソファから伸びをしながら立ち上がった。

「さぁ、行こうか」

「どこに?」

「区役所」

「何しに?」

「出生届出すに決まってるだろ!」

 何を当り前のことを!と言いたげに仙道が言った。

 しかし花道はけろっとしている。

「俺、行かねーよ」

「なななななな!何で!!」

 花道の言葉に思い切り仙道は動揺した。

「そんなもん、メガネくんに頼めば良いじゃん」

「どうして!」

「だってよー。俺は
売れっ子タレント。おめーは『あ!この人見たことある!………でも誰だっけ?』的な感じだけど、そこそこ知られてる俳優だろ?」

(……俺、そんな風に思われてたんだ……涙)

 仙道はちょっとショックだった。

「そんな二人が出生届なんて役所に出してみろよ。一発でバレるっつーの!」

「もう良いじゃん、バレたって………」

 呆れ顔で仙道が言うが、聞く耳持たれない。

「俺は嫌なの!まだまだ俺は特定の人のものにならず、みんなのものでいたいんだ…(ほわ〜ん)」

 だからメガネくんに頼め!!

 花道がきっぱり言うが、仙道も引かない。

 ちょっと愁いを帯びた表情を作り、花道に訴えた。

「…………俺……イヤだよ…そういうの………」

 花道は全身に鳥肌が立った。

 キザ過ぎる!

「そのドラマじみた喋り方は止せ!!!」

 見ろ、キザ過ぎて鳥肌がたった!

 そう言いながら袖をまくって腕を見せた。

 仙道はその腕を捕らえた。

「な?!二人で行こうよ!俺、小っちゃい頃から夢だったんだよ!自分の子供の出生届を出すのが!!」

「夢、小せぇなぁ……(汗)」

 花道は仙道の勢いにちょっとビビリながらも頷かない。

「ね?ね?行こうよ、花道!!」

「………じゃぁ……」

 行くよ。

 そう答えると思って目を輝かせた仙道は、次の言葉で奈落の底に落ちた。

「自分の子供じゃ無かったら?」

「…………え?」

「さぁ〜て。どうかなぁ………」

 花道が意地悪そうに目を逸らす。

「え……えぇ……?(汗)」


 



哀れ、その後仙道の頭の中から『誰の子供なんだ!』という疑問が暫らく離れなかった。









―――当然、二人の子供です(笑)




















【出生届 編】です(笑)
こうやって文章で読む前に、まずCMを聞いて貰いたいです。
そうしないとこの面白さが伝わらないよ〜(涙)
これは某IT企業のCMでして、「ネットで書類手続きが出来ると便利だね!」
ということをアピールするCMでした。
出演は男性と女性。だから結婚とか出産の話題が出てくるんです(笑)
でもこれは仙花ですから、2人共男性ってことで。
結婚しようが子供が生まれようがなんでも有りなのよ!
だってホモはファンタジーなのだからっ!(笑)


(2004年3月13日)




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