【 秘密基地 2 】
  (7)















「ルカワのバーカ!キツネやろう!エロ魔人!くそったれ!」

 玄関に辿りつくまでの間、思いつく限りの悪態をつく。

 部屋から「どあほう!逃げんじゃねー!!」と叫ぶ声がした。

「うるせー!バーカ!」

 そう言いながら思う。

 嫌いな訳が無い!

 嫌いだったら遊んだりしない!

 流川の方が余程分かってない!

 鈍いのは人をどあほう呼ばわりするお前だ!

 だったら言ってやるぞ!

 言えば良いんだろう! 

 ああ、言ってやるさ!

 堂々と!

「お前なんてなあ!!嫌いの反対の、反対の、反対、に決まってんじゃねーか!バカやろう!このクソギツネー!」

 これでどうだ!

 思い知ったか!

 このドアホウ!

 フン!と強く鼻息を吐き出すと、花道はクルリと振り向き靴を履いた。

 立ちあがり玄関のドアに手を掛けた瞬間。

「どあほう!!」

 大声と共に二階の部屋から流川が飛び出してきた。











「どあほう!!」

 それって好きってことか!

 やっぱり俺のこと好きなんだな、どあほう!

 流川は慌てて部屋を飛び出し、階段を凄い勢いで降りて行く。

 そして感動的に花道を抱き締めてキスして――――。

 そうなる筈だった。

 筈だったのだ。

「あ!」


 ドスンッ!


 階段は残りたった一段、というところで、流川は足を踏み外し、尻を床に思い切り強打してしまった。

 一瞬の出来事だったので、流川は思わず呆然と瞬きを繰り返してしまう。

 次第に尻がじんじんと痛み出す。

「バッカでー、ルカワ!バチが当ったんだ!」

 花道はざまあみろと笑う。

 しかし流川の一言で顔色が一変した。

「イテェ……」

 ポツリと流川が呟いたかと思うと足首を擦り始めた。

 まさか…。

「おい…怪我したのか」

「分かんねえ……足がなんか痛い……」

 捻挫か!!!

「ルカワ!!」

 するとさっきまでバカにして笑っていた花道が、慌てて靴を脱ぎ、尻餅をついた流川の元へ駆け寄って来た。

「大丈夫か!スゲー痛いのか!?捻挫したんじゃねーのか?!」

 心配そうな顔をして、怪我した足と顔を交互に見る花道。

 どうしようどうしようと焦る花道とは対照的に、流川は自分を心配してくれる花道を見ていた。

 ゆっくりと手を伸ばす。

「どあほう」

 そう言って流川は花道の襟を掴み引き寄せ、素早くその唇を塞いだ。

「ん!」

 驚いて流川を強く押し戻すと、一瞬離れた唇が「俺は怪我人」と発し、再び花道の唇を今度はもう少し長めに塞いでしまった。

 口吻けは次第にエスカレートし始め、強く吸い付いたり舌がぬるぬる唇を辿ったり心なしか流川の鼻息も荒くなってきて、結局いつまで経っても離れないので、業を煮やした花道は流川の足首をキュッと軽く握った。

「イッ!」

 肩を揺らし、流川がようやく離れた。

「何すんだ、どあほう」

「こっちの台詞だ!いつまでしてんだよ!」

 赤い顔で言われても照れ隠しにしか見えない。

「こっちは怪我人なんだ、優しくしろ」

「ただの間抜け野郎じゃねーか!」

 そんな二人の言い争いは、その後も暫らく続いていた。
















 後日。

 ミニバスの練習を休んで見学した流川はチームメイト達に「名誉の負傷だ」と自慢げに語ったそうな。

 捻挫は軽いもので二週間程度で完治した。

 そして夏休み明け。

 二人が手を繋いで登下校したかどうかは、分からない。











END



















2007年にこのサイトは10万Hitsを迎えました。そのお礼として
キリバンを久々に復活し、リクエストを頂いたのでした。番号は
111111で内容は【秘密基地】で【ちょっとアダルトな二人】で
【花道が好き過ぎて妄想して暴走してる壊れ流川】でした。しかし
フタをあけてみればちゃんとクリアしてるのは【秘密基地】だけ
だったり(汗)妄想流川はちょっと詰めが甘かった気がします(汗)
アダルトで何度か書いたんですが、やはりあの直後から書かないと
私の中で納まりがつかなくて(汗)アダルトはまた別の機会にでも!
リクエストして下さったK楽様、本当にどうもありがとうございます!!
そしてなんとか流花の日にアップしたいと思って書き進めましたので、
この小説は10万キリリクと同時に流花の日記念小説でもあり
ます(笑)続き物ですがこの話だけでも充分読めると思います。
11月ですが真夏の小学生な二人です(笑)少しでも同士様の萌えの
足しになりますように…(笑)最後に。流花よ、永遠なれ〜♪(笑)



(2007年11月10日初出)





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