【婿入り宣言!】  
(4)






 あの事件から数日後。

 流川の母は潔く負けを認め、職人の件も婿養子の件も承諾した。

 だから今、流川はいつも通りここに修行に来ている。

 『桜木屋』の日常が戻ってきたのだ。

「どあほう。ちょっと来い。話が有る」

 そんな時、流川は花道を厨房に呼び出した。

「なんだ?なんか用か?」

 新作の菓子でも出来たのだろうか?

 流川は新作が出来ると、いつも花道に試食させているのだ。

「俺は和菓子職人になる。そんでテメーの婿になるんだ」

「へ?」

 流川は唐突に言った。

「今まで言わなかったけど、今日を境にこれからは思う存分言わせてもらう」

「???おう…」

 一体どうしたんだ?何を言うって?

「俺はお前が好きだ」

「!!!」

 心臓に悪い。

 不意打ちは卑怯だ。

 花道は頬が真っ赤に染まるのを自覚した。

「俺はもう正式なテメーの婚約者だ。んで未来の亭主でもある。だからこれからは思う存分、テメーを一人占めする」

「ちょ……ちょっと待て!!勝手に決めんなよ!」

「勝手じゃねー。もう決まったことだ。周りが認める公認の仲だ」

 たしかにそうだ。

 桜木の両親も、流川の一家も認めてる。

 でもなんでこんなこんなことをわざわざ念押しするんだろう。

 あからさま過ぎて、恥ずかしいではないか………。

「………」

 頬を真っ赤に染めて俯いた花道を無言で眺めていた流川が、ふいに動いた…。

「え…」

 花道の肩に手を置き、少し力を加えて引き寄せる。

「るか…」

 最後まで名前を呼べなかった。

 残りは流川の唇に吸い取られてしまったのだ……………。

 触れるだけの口付けはすぐに離された。

 唇には微かに流川の感触が残っている……。

 心臓が痛いくらい鳴っている。

「これからはこういうこともいっぱいする。嫌だって言っても聞かねーからな?覚悟しろよ?」

 流川は言い聞かせるように、花道のボケーっとした顔を覗き込みながら言った。

「どあほう?」

 花道は我に返った。

 今のはなんだ?何が起こったのだ?

 もしかしなくても、今のはキスと言う奴か??

「う、う、う、嘘だろー!!!!俺のファーストキスー!!」

 今のが生まれて始めてのキスだ。

 誰か嘘だと言ってくれ!

「そいつは良かった。ゴチソーサマ」

「………(怒)」

 ふ、ふ、ふざけんなーーーーー!!俺のファーストキスを返せーーーー!!!

 花道は思いっきり喚いた。

 だが、

「一度貰ったモンは返品できねー。男なら潔く散れ」

 流川はいけしゃあしゃあと宣言する。

 なんでこんなヤツが婿養子なんだ!!??

 一体どこで間違えたんだ??

 そうだ!!

 元はと言えば、健一郎の【タナボタ宣言】が発端じゃないか!!!!

「俺はこんなボタモチなんていらねーーーー!!!!すぐに返品してやるー!!!」

 『桜木屋』の厨房に花道の絶叫が響き渡った。

「やれるもんならやってみやがれ」

 流川の不敵な言葉も、今の花道の耳には届かなかった………。










END













とある流花アンソロジー本へ寄稿したものです。
恥ずかし過ぎる!(笑)穴があったら埋まりたい!
これは私は生まれて初めて書いた流花です。
初めて書くのがWパロってところがその後の人生を物語ってる
気がします(笑)今よりさらに下手くそです。今と変わらないよと
思われたらなんか切ない(汗)これは【ボ●モチを探して】という
少女漫画のWパロでした。なんでこれを書こうと思ったのか
不思議だ(笑)サイトに載せる為に読み返したけど、書き直したい
衝動を抑えるのが大変でした(汗)いっそのこと全部書き直したい!
でも教訓というか若気の至りというか(笑)、あえて加筆修正せず
そのまま載せます。色々物語が飛んで破綻してるけれどテンション
は今も当時も変わらないことだけ分かって貰えると嬉しいです(笑)


(2000年初出・旧タイトル【桜木屋協奏曲】)









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