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【Nobody can stop!】  (2)







「桜木さーん!飯食いに行きません?」

 爽やかな笑顔で仙道は花道に近づいた。

「あぁ?なんで俺がお前と行かなきゃならねぇんだよ」

「俺が奢りますよ」

「……仕方ねぇ。付き合ってやる」

 偉そうにそう言って、しかし大変嬉しそうに仙道と校門を後にした。

「何食べます?」

「うーん。最近アレ食ってねーんだよなぁ」

「アレ?」

「ハンバーグ!」

「………」

 目をキラキラさせる花道を、仙道はマジマジと見てしまった。

「●●●のハンバーグがすげぇ美味いんだ!」

 力説する花道をじっと仙道が見る。

「な、何だよ、その目は!」

「………」

 暫し呆然としていた仙道だが、くっくっと笑った。

「何、笑ってんだ!ハンバーグを馬鹿にしてんのか!」

 花道は突然笑い出した後輩に頭突きをかまそうとした。

 しかし寸でで仙道がかわす。

「仙道!」

「い、いや…っ!くくくっ!すいませ…ん…っ」

 笑いを堪えながら仙道が詫びを入れた。

「笑いながら言うな!」

 ふぬーっと怒っている花道を目の端に収めながら歩く。

「桜木さん、スパゲティとか鳥の唐揚げ、好き?」

「大好きだ!」

 胸を張って答える花道に、また新たな笑みが浮かんでくる。

「お子様なんですね、センパイは」

 仙道が花道の顔をニヤニヤと覗き込んだ。

「何~!」

 花道が案の定噛み付いてくる。

「だってお子様が好きな食べ物だし」

 ハンバーグも、スパゲティも、唐揚げも。

 仙道がそう言うと、花道が「お子様に対するヘンケンだぞ!」と反論した。

「好きなら好きで、そんなの何の問題もねー!俺はとことん好きを貫くぞ!」





 天才はヘンケンには負けんのだ!





 高らかにそう宣言する花道に、仙道はまた呆気に取られた。

(こりゃまた一本取られたわ………)

 このセンパイはいつでも正直で直球で、受け止める方も覚悟が必要だ。

(でも、それでこそ打ち返して、攻め込む甲斐もあるってもんだ)

 こっちこそ偏見なんて蹴散らして、桜木花道のことが好きだと貫き通してやろうじゃないか。

 仙道は、隣で意気揚揚と歩く片思いの相手へ、また決意を新たにした。

 笑っているのも今のうち。

(その時がきたら、容赦しませんからね)

 そんな不吉なことを、仙道は微かに笑みを浮かべながら店への道すがら、考えていた。






















これはWEB拍手に載せた御礼SSです。
再掲載にあたりちょっと手直ししました。
これは仙花というよりオリジナルボーイズラブ(年下攻め)
とでも思って読んでいただけるとよろしいかと……(笑)
かなり偽者度数高いので(笑)


(2004年3月1日初出)





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