【La vie en rose ?】 
(3)








「どあほう……?」

「……んぅ……」

 千鳥足の花道をベッドに横たえた。

 奇しくもそこは先日花道が死ぬほど激しく犯されたベッドだ。

 そうとも知らず無防備に横たわる。

 そして首が苦しいのか自らシャツのボタンを外し始めた。流川はそれを手伝ってやる。

「水……」

 喉の渇きを訴えたので、キッチンへ向かいミネラルウォーターを持ってきた。

「ほら、水だ」

「…………」

 枕元でそう言うと、花道は手をフラフラと持ち上げ、ペットボトルを受け取ろうとする。

 しかし今の状態ではまともに飲めるとは思えない。

 流川はお約束通り一口含むと、フラフラしている手をシーツに抑えつけてから唇を合わせた。

 少し口元を濡らしてやると、自然と花道の唇が開く。

 喉の動きで飲み込んだのを確認すると、流川は一旦体を起こした。

 花道を見下ろすと、舌で湿った唇を舐めていた。

 妙に艶めかしいその仕草に目を細める。

 まだ渇きが癒えないのか、水を欲している花道に、流川は三度同じ動作を繰り返した。

 当の花道は、満足したのか気持ち良さそうに目を閉じている。

「寝たのか?」

「………ん……」

 返事なのか、ただの吐息なのか判別出来ない音を発する。

「寝込み、襲うぞ」

「……んん……」

 またしても判別不明な音。

「後で文句言うなよ………」

 流川はサイドテーブルにペットボトルを置くと、ベッドの端に腰掛けた。

 ベッドがキシッと小さな音を立てる。

 目を閉じた花道の頬を優しく撫でると、くすぐったいのか気持ちが良いのか、花道は流川の
手に顔を摺り寄せてきた。

 その仕草はまるで猫のようだった。

 もっと撫でてとおねだりするような仕草。

 流川は花道に覆い被さり、唇を塞いだ。

 丁寧に口腔を味わいつつ、シャツのボタンを全て外す。

 首筋から手のひらを這わせ、撫で下ろす。

 口吻けながら胸の一点に辿り付いた時、流川の指は指揮棒を振るようにリズミカルに優しく
乳首を擦った。

 何度か指に引っ掛ける仕草を繰り返すと、花道は頭を振って口吻けを解いた。

 頬を染めるその表情はなんとも色っぽい。

「は…あっ…なに?………」

「………」

 問いかけを無視して、流川は張りのある胸を今度は舌先で辿る。

 中心に強く吸い付くと高い声が漏れた。

 乳首を舌先で弾いてから口に含むと横たわる体が跳ねる。

 そこを更に唇で扱くと益々尖ってきた。しこった感触が唇に気持ち良い。

 思う存分両乳首を愛撫すると、流川は体を起こした。

 花道の熱が冷める前に素早くズボンと下着を太股の辺りまで下ろしてしまう。

 そこは反応して力を持ち始めていた。

 視覚的に言えば、シャツの前をはだけ、下半身を中途半端に露出しているその様は
流川の下腹部まで多いに刺激した。

 もっと感じさせる為に、花道自身を軽く握って先端をチロリと舐めた。

「はん!」

 突然やってきた強い刺激にビクッと体が震える。

 竿を上下にゆるく扱きつつ、猫がミルクを舐めるように先端を小刻みに舐める。

 その二重の刺激に花道は思わず手を彷徨わせた。

 強い刺激が来る己の股間へ手を持っていくと、そこにはサラサラとした感触と堅い何か。

 小刻みに揺れるその物体を静止させたいのか、払いたいのか、流川の黒髪に指を埋めた。

 花道の手に気を良くしたのか、流川は花道自身の根元を支え、一気にそれを咥え込んだ。

「あうっ!!やっ…だ…っ」

 やだと言いつつ、両手で流川の頭を支える。

 頭が上下に激しく動くたび、花道の股間はまるで牛の乳搾りのように根元から先端まで
熱いもので絞られているような感覚に陥った。

 動く頭に合わせて、花道の両手も激しく動く。

 自分の手の動きがそのまま自分への刺激になっているようで、花道は大きく喘いだ。

「やっ!あ!イ!も…だめっ…あぁぁん!」

 感極まり甲高い声を発した花道は、同時に達してしまった。


はぁはぁはぁ……っ


 かなり呼吸を荒げている花道に構わず、流川はそこをもう一度強く唇で搾り取り、放った
ものを全て飲み下した。

 手の甲で軽く口元を拭い、伸び上がって花道の顔を覗き込む。

 目が覚めたのかと思ったが、逆に花道はあっけなくそのまま気を失うように眠ってしまった。

「どあほう……?」

「…………」

 ペチペチッと頬を軽く叩く。

「…………」

 何の反応も返さない。

 流川は目の前で乱れて横たわる美味しそうな体を上から下まで見下ろした。

 ぜひ最後まで頂きたい。

 今ならアソコも弛んで入りやすいだろう。前回のように傷つけることは無い筈。

 しかしそこまで考えて、流川は思い直した。

 寝込みを襲うどころか、酔っ払いとセックスしてもつまらない。

 どうせなら素面で、お互いに認識している状態で抱き合いたい。

(またすぐ機会はあるだろう……)

 流川はしぶしぶ続きを諦めて、花道をパジャマに着替えさせてやることにした。












 翌朝。

「んぁ……?」

 花道はぼんやりと目を覚ました。

 フカフカの布団の中(どうやらベットらしい)で、朝の眩しい光りを受ける。

 目を開けるとなんだか妙に見たことのある風景。

 ゆっくりと体を起こすと、頭が鉛のように重く、ズンズンと地響きのような頭痛がした。

「なんだこれ……」

 痛む頭を押さえ視線を巡らすと、流川と目があった。

「る、かわ?」

「起きたのか」

「俺なんで……」

「昨夜のこと、覚えていないのか?」

「………昨夜……」

 なんとか記憶を辿ると、一緒に食事をしたところまで思い出せた。

「飯食ったのは覚えてるけど……」

「日本酒飲んで酔っ払ったんだ」

「あ……」

「お前の家を知らないから、うちに連れてきた。それだけだ」

 エッチなことをしでかしたことは黙っておく。

「そうか…すまん」

「水飲むか?」

 静かな声に花道は素直に頷いた。

 流川はグラスに水を注ぎ花道へ渡した。

「サンキュ…」

 少し動くだけでも頭に響くので、花道はそっとそれを受け取りゆっくりと飲み干した。

「………ふぅ…」

 一息つくと、助けてくれた流川に礼を言う。

「ありがとな…、迷惑かけてすまねー…」

「いや……大したことはしていない」

 そう言うと空になったグラスを受け取り、花道の頬をするっと撫でた。

 その瞬間、花道は恐ろしいことに気付いてしまった。

「お、おい!」

「なんだ」

 激しく痛む頭に構わず花道は動揺したように流川を見上げた。

「あっ……おっ……やっ……」

「意味が分からん」

「うぐっ。だ、だから………」

「……?」

「や、やったのか………」

「何を」

「何をってそれは…その…」

「……」

「つ、つまり…アレだ、アレ!」

「アレ?」

「だからアレだっつーの!分かんだろ普通!っていうか分かれ!」

 もはや涙目で訴える花道。

「……あぁ。アレのことか」

「そうだ!そのアレだ!」

 で?やったのか!

「…………」

 流川は横目で花道をチロリと見た。妙に意味深なそれ。

「な、なんだその目は!やっぱりやったのか!そうなのか!」

 花道はガーン!とショックを受け、頭痛のする頭を掻き毟った。

「お、俺はまたしてもコイツに!コイツに〜!」

 犯された!

 ……なんてとても口には出来ず、花道はただただ流川に犯されたショックに打ちの
めされていた。

 そしてその様子を面白そうに流川はただ眺めているばかり。

(コイツの解釈の場合、途中までしかヤってないと言うのは、ヤった内に入るのか?)

 青褪めている花道の様子を愉快そうに眺めつつ、流川は濃い目のコーヒーを啜りながら
そんなことを思っていた。







 黒髪の美しい一つ年下の青年流川楓に(一方的に)愛され慈しまれる赤い髪の、これまた
美しく元気一杯の青年桜木花道。

 そんな彼の人生は、きっと誰もが羨む「薔薇色の人生」………かもしれない。





































調子に乗って書いてしまった第2弾です(汗)
花道が凄く気の毒な役だ。ごめんよ花道(汗)うちの中では一番気の毒な
役かもしれない。流川に振り回されてばかり(^^;)
その流川、最初花道に対して敬語を使わせようかと思って書いたんです
が、どうにもしっくりこなくて(汗)ただでさえ激しいパロなのに、これ以上
いじったら流川じゃなくなってしまうので、あぁなりました。だって流花だし!(笑)
それにしても「冬のアナタ」に「モン様」って一体何(大笑)それになんか
エロが思ったより結構ちゃんと書いてて、読み返して自分で驚いた(汗)
これも実はWEB拍手のお礼に載せていたんですが、こんな長くてエロい
小説を載せてたのか!と今頃恥ずかしいです(遅っ!)


(2004年11月6日初出)



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